1位
氏名:生天目 達成 (なまため・たつなり)
所属:BEE’S KNEES/京都・紙屋町
カクテル名:Triple crown
2位
氏名:山田 采弥(やまだ・あやね)
所属:Mixology Salon/東京・銀座
カクテル名:Osme Fashioned(オスメ ファションド)
3位
氏名:大西 龍馬(おおにし・りょうま)
所属:Bar BenFiddich/東京・新宿
カクテル名:Old talisman(オールドタリスマン)
ファイナリスト
青木 陽平 (MIXOLOGY HERITAGE/東京・日比谷)
Throwback Fashioned(スローバック ファッションド)
[コンセプト]
コンセプトは「どこか懐かしい思い出の味」。
オールドファッションドを初めて飲んだ時、その味わいは私がアメリカにいた頃に味わった現地のお菓子を思い出させました。
ウイスキーのバニラ香をガリアーノで引きたて、和の素材を活かすことで日本人の本能に眠る懐かしい記憶をくすぐり思い返す様な味わいを表現しました。
[材料]
・ウッドフォードリザーブ/30ml
・ガリアーノ オーセンティコ/10ml
・山椒インフューズフェルネブランカ/5ml
・柚子オレオサッカラム/5ml
・木の芽(ガーニッシュ)
・柚子ピール(ガーニッシュ)
[つくり方]
①材料をワイングラスに入れて調合、スワリング。
②混ぜた液体をミキシンググラスに移し、氷を入れてステア。
③氷を入れたオールドファッションドグラスに注ぎ、木の芽と柚子ピールを氷の上に添える。
[味わいの特徴]
一口目に飲むと、ウッドフォードリザーブの複層的な味わいの延長に柚子の品のある爽やかな酸味、余韻に山椒のスパイシーを段階的に感じることが出来ます。
飲み進める事にバニラやビター感が顔を出し、安心感のあるオールドファッションドらしい味わいをお楽しみ頂けます。
[工夫した点]
あくまでクラシックなオールドファッションドを目指し、ミクソロジー要素は砂糖とビターズの2点のみにしました。
柚子を砂糖に漬け込み作ったオレオサッカラムはカクテルの古典、19世紀から伝わるシロップの製法。
ビターズの役割のフェルネブランカには実山椒を漬けてスーヴィド、抜け感のあるスパイシーさを与えます。
井手 周 (LAMP BAR/奈良・奈良市)
Hold Fashion(ホールド ファッション)
[コンセプト]
ウッドフォードリザーブの持つ奥深い味わい、フルーティーな香りを最大限に引き上げる材料を選びました。オールドファッションドには必要不可欠なものは甘味、酸味、苦味。自家製材料には3つの味わいを全てを加え、より立体感のある味わいにし、ベースの味わいを引き立たせ、何度でも飲みたい新しい味わいに仕上げました。
[材料]
・ウッドフォードリザーブ/40ml
・カラメルビールシロップ/10ml
・チャーオレンジジュース/5ml
・アンゴスチュラビターズ/2dash
・グリオッティンチェリー/1個(ガーニッシュ)
・チョコレートチェリー/1個(ガーニッシュ)
[つくり方]
①ガーニッシュ以外の材料をティンに入れ、チェリーを潰す様にマドル。
②①を濾し、氷の入ったグラスに注ぎステア。ガーニッシュを飾る。
[味わいの特徴]
自家製材料2つ共、甘味酸味苦味があります。カラメルの甘味、ビールの繊細な酸味そして苦味。フレッシュオレンジジュースの甘味酸味、そして表面を炙る事で生まれる苦味。これらにより複雑な味わい、さらにそれらを加えてもしっかり芯のあるベースの香りが余韻を生みます。
[工夫した点]
ビールにただ加糖するのではなく、煮詰め半分量にし、香りや味わいを強くし、カラメルを加えてもビールの味わいを半減しないものに仕上げました。オレンジは、バーボンのチャーからヒントを得て炙る事で味わいを深いものにし心地よい苦味を加えました。チェリーをマドルする事でバーボンの持つフルーツ香がより開きます
今井 綾子 (BAR堀川/東京・銀座)
S’more more(スモア モア)
[コンセプト]
アメリカのキャンプやBBQで、定番のアウトドアスイーツの1つ、S’moreをカクテルに見立てました。
夜の焚き火を囲んで飲む、味わい深い一杯。
あまりの美味しさに「Same more」(もっと欲しい)と、もう一杯飲みたくなる、変化を楽しむ、新しいオールドファッションド。
[材料]
・ウッドフォードリザーブ ディスティラリーセレクト/40ml
・ボルス クレーム・ド・カカオブラウン/5ml
・チェリージャム/1tsp
・バルサミコ酢/1tsp
・マシュマロ/2個(ガーニッシュ)
・シナモンスティック/1本(ガーニッシュ)
[つくり方]
①シェイカーにウッドフォードリザーブ、チェリージャムを入れ、ハンドミキサーで攪拌し、カカオリキュール、バルサミコ酢を入れてシェイクする。
②氷が入ったロックグラスに注ぎ、ガスバーナーで炙ったマシュマロをグラスの上半分に浮かべ、同じく炙ったシナモンスティックを添える。
[味わいの特徴]
ウッドフォードの樽感、繊細なバニラのような風味に、甘味のチェリージャムとマシュマロ、苦味のカカオリキュール、酸味のバルサミコ酢を合わせ、深みのある一杯に仕上げました。
さっぱりとしたフルーティーな味わいと、マシュマロを混ぜた時のデザートのような味わい、色々な風味を感じて頂きたいです。
[工夫した点]
オールドファッションドの特徴である甘味、苦味、酸味を、コンセプトの、キャンプやBBQシーンでイメージされるもので表現しました。また、ガーニッシュをガスバーナーで炙ることで焚き火のような香ばしさをつけました。
一度目はそのまま、二度目はマシュマロをかき混ぜて…何度も楽しめるように創作致しました。
大西 龍馬(Bar BenFiddich/東京・新宿)
Old talisman(オールドタリスマン)
[コンセプト]
今回は「酒による魔除け、儀式」に重きを置いております。パロサントは天然香木であり古くより儀式前に焚くことで魔除けとして用いられます。
バナナは幸運の象徴であり、楓は調和を意味し非常に縁起の良いカクテルとなります。
[材料]
・ウッドフォードリザーブ/40ml
・パロサント芳香水/20ml
・テンパスフュージット クレーム・ド・バナナ/10ml
・メープルシロップ/1tsp
・バナナチップス(ガーニッシュ)
・オレンジピール「炙り」(ガーニッシュ)
[つくり方]
①スニフターグラスに材料を注ぎよく馴染ませ、ミキシングでステア。
②氷の入ったロッググラスに注ぎ、炙ったオレンジピールを振りバナナチップスをグラスに添える。
[味わいの特徴]
まず口に含んだ時にウィスキーの力強い味わいと調和を計らうとするメープルシロップで口内が満たされ、遅れてやってくるバナナのフルーティな甘さがパロサントのウッディー且つ甘く包み込む様な香と相まって、落ち着きのある味わいが生まれます。
[工夫した点]
パロサントは芳香水として用いることで香りが最大限まで引き出され、オレンジピールは炙ることで新たな柑橘の風味が引き出されます。
小坂 駿(Quarter Room/東京・世田谷代田)
Melty Old Fashioned(メルティ オールドファッションド)
[コンセプト]
私のNew Old Fashionedは核である苦味、甘み、柑橘の要素に少量の塩味を加えることで味わいに奥行きを与え、一口目から口の中でとろけるような味わいに。ウッドフォードリザーブの魅力を最大限に引き上げる為、一度温め香りや味わいを増幅させ急冷し一気に液体に吸着させる技法を取り入れた新しい一杯。
[材料]
・ウッドフォードリザーブ/40ml
・アップルミントリキュール/7.5ml
・焦がし醤油ビターズ/2dash
・オレンジピール[ディスカード](ガーニッシュ)
・グリオッティンゼリー(ガーニッシュ)
[つくり方]
①温めたデキャンタに全ての材料を注ぎスワリングし、ミキシングに注ぎ入れステアする。
②氷を入れたグラスに注ぎ、オレンジピールを振りかけ、グリオッティンゼリーを氷の上にのせ完成。
[味わいの特徴]
一口飲むと醤油からくる塩味が合わさり塩キャラメルのような味わいからジューシーなフルーティー感、そして材料を温め香りを広げ氷が一気に溶け加水させることでウッドフォードリザーブの眠っているほんの少しのミントの爽やかさが鼻腔を抜ける。
素材達が寄り添い香り高くまろやかな味わいの一杯。
[工夫した点]
クラシックなオールドファッションドは力強く重厚な味わいが一般的だと思います。今回はウッドフォードリザーブの酒精の柔らかさや繊細な味わいのタッチを表現したかったので、温度変化を加えアルコールを少し気化させることでよりまろやかに。少量の塩味を加えることで立体的なオールドファッションドに仕上げました。
竹添 未来 (CRAFTROOM/大阪・梅田)
Fork Road(フォークロード)
[コンセプト]
今回のコンセプトはチェリーパイ。新しさとはと考え、真っ先に出て来たのが自分の2つを選んだ道では無いかと思い、勤めているお店で初めてパティシエとして出した物がチェリーパイだったことから思い出深いお菓子を今回の課題でバーテンダーとして液体に変えていきゆっくりと楽しめ刺激のある一杯として提供します。
[材料]
・ウッドフォードリザーブ/40ml
・キャラメルバターウォッシュドビターズ/5ml
(唐辛子、シナモン、クローブ、オールスパイス、生姜、焦がしキャラメル)
・チェリーシュラブ/10ml
・オレオサッカラム/5ml
・シュラブの乾燥チェリー(ガーニッシュ)
・チェリー入り65%チョコレート(ガーニッシュ)
[つくり方]
①ミキシンググラスにチェリーシュラブ10ml、キャラメルバターウォッシュドビターズ5ml、オレオサッカラム5mlを入れ、最後にウッドフォードリザーブ40mlを入れる。
②次に氷を入れステアをする。
③ロックグラスに氷を入れカクテルを注ぐ。
④チェリーシュラブの元である乾燥させたチェリーと65%のチョコレートに乾燥チェリーを混ぜた物をピックに刺しガーニッシュとしてカクテルに乗せて完成。
[味わいの特徴]
ウッドフォードリザーブの200種類の味と香りからバター、果実の爽やかさ、スパイスの刺激する香りを感じました。その特徴を引き立てる為、チェリーシュラブでは酸味と甘み、ビターズではキャラメルのコクと唐辛子やスパイスの刺激、オレオサッカラムの爽やかな酸味。ガーニッシュはチョコレートで苦味を出しました。
[工夫した点]
昔から愛されるオールドファッションドとチェリーパイに共通しているのは安心感です。Newとは変わるのではなく新しい手法で長く伝えていく事だと解釈し、伝統的な二つを掛け合わせ時代による味覚の変化に合わせて酸味、甘味、苦味を立体的に再現し、味の複雑さを出す為ビターズにキャラメルを入れてウォッシュしました。
生天目 達成 (BEE’S KNEES/京都・紙屋町)
Triple crown(トリプル クラウン)
[コンセプト]
ケンタッキーダービーのオフィシャルバーボンであるウッドフォードリザーブを通じて、アメリカの文化、ケンタッキー州を表現したカクテル。古いものと新しいものの調和をテーマにした。世界的に長い人気を誇るオールド・ファッションドに敬意を払い競馬界の名誉を称えた言葉にある[トリプルクラウン]と名付けた。
[材料]
・ウッドフォードリザーブ/40ml
・ベネディクティン/3.5ml
・グリオッティン リキュール/5ml
・アンゴスチュラビターズ/1dash
・レッドオニオンバルサミコ酢/10drop
・レモンピール(ガーニッシュ)
・グリオッティンチェリー(ガーニッシュ)
・クランベリーチョコレート(ガーニッシュ)
[つくり方]
①ミキシンググラスに全ての材料を入れて、氷を加えてステアし、カクテルグラスに注ぐ。
②レモンピールのオイルを振りかけ、カクテルピンに刺したグリオッティンチェリーとクランベリーチョコレートを飾る。
[味わいの特徴]
オールド・ファッションドの伝統的な砂糖、水、ビターズの基本レシピをベースとし、ウッドフォードリザーブの200種以上のフレーバーを引き出しました。副材料の酸味、苦味、甘みが加わる事で新しく複雑でバランスの取れた味わいと香りが口いっぱいに広がります。ガーニッシュを食べるとまた違った味わいに変化します。
[工夫した点]
相性の良いベネディクティンを甘味のパートとして使用した。ケンタッキーダービーの伝統的な食事として楽しまれる、オニオンの香りを付けたバルサミコを使用して複雑な香りと酸味、深味を加えた。
チェリーとチョコレートの違ったガーニッシュは三冠王をイメージしており、食べると違った味わいのカクテルになる様にした。
山田 采弥 (Mixology Salon/東京・銀座)
Osme Fashioned(オスメ ファッションド)
[コンセプト]
ウッドフォードリザーブの200以上のフレーバーノートを活かす香水を作るとしたら、その中のひとつはこれが欲しい、「osme」はギリシャ語で香りを意味します。どのような時代でも香りを愉しむ事は人々の生活に彩りを与えます。ウッドフォードリザーブとバーテンダーから、上質な香りを飲む愉しみの提案です。
[材料]
・woodford/45ml
・home made osmanthus syrup/10ml
・bergamot pure/7ml
・osmanthus flower(ガーニッシュ)
[つくり方]
①ミキシングにガーニッシュ以外の全ての材料を入れ、氷を入れてステア。
②氷を入れたロックグラスに注いで、氷の上に金木犀を乗せたら完成。
[味わいの特徴]
ウッドフォードリザーブの200以上のフレーバーノートが全体を包み込むようなカクテルです。香水をイメージしたこのカクテルは、柔らかい甘さとフレーバーのレイヤーを楽しめます。金木犀の甘い香りや味わいが広がったあと、ベルガモットの軽やかな味わいや苦味が続きます。最後にウッドフォードリザーブのリッチな余韻が長く楽しめます。
[工夫した点]
ウッドフォードリザーブの持つ力強い中にもしなやかで繊細なアロマ、トップからラストにかけて変化するフレーバーを活かせるようにしました。綺麗な余韻の長さもウッドフォードリザーブの強みだと思うので、その余韻をいかに引き出すかを工夫しました。ウッドフォードリザーブの複雑な香りを活かす為の素材なので、最低限のレシピ構成にしています。
與那嶺 文香(Bar LIBRE GINZA/東京・銀座)
Twilight Fashioned(トワイライト ファッションド)
[コンセプト]
トワイライトとは、日の出時に見られる白んだ空気、時間のこと。これからの未来を担っていく若者達が成長していく様子と、ウッドフォードリザーブの無限大さを、何色にでもなれるという光の三原色で表現。オールドファッションドのカクテル言葉は「わが道を行く」。アップデートする若者たちと、ウッドフォードリザーブに朝焼けが訪れます。
[材料]
・ウッドフォードリザーブ/30ml
・自家製減塩味噌ゴマリキッド/15ml
・ハニーウォーター/10ml
・ボルス カシスビターズ/3ダッシュ
・ボルス カカオホワイト フォーム
・グミ3色(ガーニッシュ)
黄色:ボルスバナナ(レモンピールごと 柚子コンフィチュール)
赤色:ボルスストロベリー(オレンジピールごと 柿コンフィチュール)
青色:ボルスブルー(ライムピールごと マスカットコンフィチュール)
[つくり方]
①ビターズ、ウッドフォードリザーブ、味噌ゴマリキッドをミキシンググラスへ入れ、ステア。
②クラッシュアイスをつめたロックグラスに注ぐ。
③上からカカオフォームをのせ、三色のグミを添える。
[味わいの特徴]
朝食に親しみ深い味噌、貿易と共にアメリカに渡ったゴマでバーボンの香ばしさを底上げし、カシスビターズで甘味を整えます。カカオフォームを加え、南米でもよく親しまれるまろやかでスパイシーな味わいに纏めました。お酒が弱い方でもお楽しみ頂けるようクラッシュアイスを使うことでマイルドに仕上がります。
[工夫した点]
今回はサステナブルを意識し、柚子、マスカット、柿のコンフィチュールに、破棄してしまうシトラスの皮を煮詰め、ボルスリキュールと一緒にグミに仕上げました。シトラスの新しい味わいをつくり、コンセプトにある3原色を表現致しました。海外の方にも意外性を持ってもらえるよう日本材料とのペアリングを意識しています。
ロバーツ アーサー(Bar TRENCH Annex/東京・恵比寿)
No side(ノーサイド)
[コンセプト]
“ボーダーレスオールドファションド”
私は日本人と南アフリカの両親を持ち、ニュージーランドで生まれ育ちました。
その3国のルーツと私が幼少期から携わってきたラグビーの “No side “というお互いを尊重し合う文化を融合させ、ボーダーレスでお互いを引き立て合うオールドファッションドを作成しました。
[材料]
・ウッドフォードリザーブ/40ml
・オレオサッカラム/10ml
・ルイボスティー/80ml
・ブレンドビターズ/2dash
・プラムマーマイト(ガーニッシュ)
・ユズピール(ガーニッシュ)
[つくり方]
①タンブラーグラスにプラムマーマイトを塗る。
②グラスに氷を入れる。
③ブレンドビターズ、ルイボスティー、オレオサッカラム、ウッドフォードを全量入れる。
④ステアをし、冷やし、混ぜる。
⑤削ったユズピールをカクテルの上に飾る。
[味わいの特徴]
ゆずの爽やかな香りは飲み口を軽やかにし、滑らかにウッドフォードリザーブの複雑なシトラスの味わいへ繋げ、ルイボスティーの甘味や渋みはスパイシーさを優しく引き上げ、プラムマーマイトの酸味塩味のアクセントが奥行き与えます。
低アルコールながら、ウッドフォードリザーブの香りと味わいを楽しめるカクテルです。
[工夫した点]
スピリッツ、ビターズ、水、砂糖を材料とするオールドファッションの原型を踏襲しながらウッドフォードリザーブの存在感を引き立てつつ低アルコールに仕立てました。
また、ケンタッキー州のスウィートティーを飲む文化をルイボスティーとオレオサッカラムで表現するなど、それぞれの文化を尊重し関連性を持たせています。